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『ふぁ…。1時間目終わった?』
啓一は裕子に聞いた。
『はぁ?アンタねぇ…もう給食よ?』
裕子は呆れたように言って啓一を見た。啓一の目尻に涙の跡に気付いた時啓一は席を立ち上がった。
『細田どこいくの?』
『顔洗ってくるんだけど…?なんで?』
『アンタ給食当番なんだけど…。』
『…マジで!?代わりにやってよ。』
『当番は守りなさい!』
啓一の見た目に動じる事無く詰め寄る裕子に教室中が注目する。
『わか、わかった!顔くらい洗わせろ。サボらないから…。』
啓一はそう言って教室から出て行った。啓一が出てからすぐ裕子はクラスメートに話しかけられた。
「細田怖くないの?」
『見た目は派手だから怖いけど当番は守ってもらわないとね。』
「さすが学級委員だね。平井ちゃん…。」
クラスの人間のほとんどが誰が発したか分からない言葉に頷いた。
(な、なんなんだ。あの女…調子狂うな。)
啓一は手洗い場で顔を洗って鏡を見つめた。
(顔が浮腫んでるな…知らない内にまた泣いてたのか…。それにしても…。)
裕子は啓一が泣いていた事に気付いてたのではないか。口止めするべきかどうするべきか…もし気付いてなければ墓穴を掘る事になる。
そんな事を考えて居ると後ろから健太が声をかけてきた。
「よっ!もう大丈夫か?」
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