第一幕

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『ふぁ…。1時間目終わった?』 啓一は裕子に聞いた。 『はぁ?アンタねぇ…もう給食よ?』 裕子は呆れたように言って啓一を見た。啓一の目尻に涙の跡に気付いた時啓一は席を立ち上がった。 『細田どこいくの?』 『顔洗ってくるんだけど…?なんで?』 『アンタ給食当番なんだけど…。』 『…マジで!?代わりにやってよ。』 『当番は守りなさい!』 啓一の見た目に動じる事無く詰め寄る裕子に教室中が注目する。 『わか、わかった!顔くらい洗わせろ。サボらないから…。』 啓一はそう言って教室から出て行った。啓一が出てからすぐ裕子はクラスメートに話しかけられた。 「細田怖くないの?」 『見た目は派手だから怖いけど当番は守ってもらわないとね。』 「さすが学級委員だね。平井ちゃん…。」 クラスの人間のほとんどが誰が発したか分からない言葉に頷いた。 (な、なんなんだ。あの女…調子狂うな。) 啓一は手洗い場で顔を洗って鏡を見つめた。 (顔が浮腫んでるな…知らない内にまた泣いてたのか…。それにしても…。) 裕子は啓一が泣いていた事に気付いてたのではないか。口止めするべきかどうするべきか…もし気付いてなければ墓穴を掘る事になる。 そんな事を考えて居ると後ろから健太が声をかけてきた。 「よっ!もう大丈夫か?」
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