序幕

2/9
334人が本棚に入れています
本棚に追加
/888ページ
とある中学校の風景。教室で、2人の男子生徒が会話をしていた。 「おい!啓一!焼きそばパン買って来いよ。」 『…わかった。お金は?』 啓一がそう言った瞬間、拳が飛んできた。 「オメーが出すんだよ。」 『僕お金無いよ。藤井君お金頂戴よ。』 啓一の言葉に藤井は切れて手元にあったコンパスを投げた。針が腕に刺さり啓一の腕から血がしたたり落ちる。 それを見たクラスメートが口々に言った。 「汚ねえな。」 「病気が移るだろうがよ!」 「おい、桜井。コイツの血を拭くのに雑巾持って来いよ。…昨日牛乳拭いたのあるだろう?」 藤井が笑っていると教室のドアが勢い良く開く。 「テメー!俺の従兄弟また虐めやがって!ボコボコにすんぞコラ!!」 『け、健太…。』 健太の登場に藤井と桜井は顔から血の気が引いた。 健太は啓一と同じ中学校で、学年の番を張る男だった。 『良いよ。別に…。』 「オメー血が出てんじゃねえかよ。」 『大した事ないから。』 健太は啓一の近くに落ちているコンパスに目をやった。 それを手にすると健太は勢いよく藤井に投げつける。 「テメーいい加減にしねえと学校来れなくなるくらいボコボコにすんぞ!」 『健太…。』 「とりあえず保健室に行くぞ。」 健太はそう言って啓一の腕を引っ張って教室を出た。
/888ページ

最初のコメントを投稿しよう!