第一幕

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食後の一服も教師達に見つからず気分良く家に帰った啓一に思いもしない出来事が待っていた。 『ただいま。』 「啓一?丁度良かった。ちょっと来て。」 母親に呼ばれ居間に行くと見知らぬ男と母親が向き合って座っていた。 『誰だ?こいつ?』 「啓一!口に気をつけなさい。この人は弁護士の先生よ。」 「弁護士の郷です。よろしく。」 郷と名乗った弁護士はにこやかに啓一に名刺を渡した。 啓一は何となく気に入らない男の名刺を引ったくるように受け取り目を通して聞いた。 『んで?何しに来たの?』 「啓一!いい加減にしなさい!きちんと話すから座りなさい。」 啓一は大きく息をつきながら弁護士と母親の間に入るように座った。 『で?話って何?』 啓一は制服のままタバコに火をつけ郷に吹きかけた。 母親はテーブルを叩いて怒鳴った。 「アンタ何様のつもりなの?」 『俺様。』 「いい加減にしなさい!」 「まぁ、まぁ。お母さん落ち着いて下さい。実はね。私はお母さんから相談を受けてるんだよ。」 郷はタバコを吸う啓一を咎める事無く落ち着いた口調で話し始めた。 『何?なんの相談?』 「うん、辛い話になるかもしれないが聞いてくれるかな。」 『聞いてる内にさっさと話せよ。』 啓一はイライラした気持ちを抑えて言葉にした。 勢い的にはこの雰囲気さえ気に入らなくて目の前の弁護士を原型を留めない程に殴ってやりたかったが、それが得策では無いとどこかで冷静に感じていた。 『良いか?俺が今キレてんのは俺の知らない状況が納得出来ないからだ。テメーの話聞いてもまだ意味解らなかったテメーをボコボコにするから覚悟しろよ?』 啓一の脅しにも顔色変えずに優しく頷く弁護士は母親の方を見た後、口を開いた。
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