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啓一が隣の教室に入ると藤井が一人の女の子を虐めていた。
『…藤井君。』
「お前が逃げんのが悪いんだからな。」
女の子は何も言わずに泣いていた。
『わかったよ。僕、教室戻るから。』
「お前はもう健太が邪魔するからつまんねえんだよ。」
それをドア越しで見ていた健太は大声を上げた。
「テメー!!」
『健太!良いから黙ってくれ。』
啓一は健太を制止する。
「啓一…。お前何考えてんだよ。」
『…藤井君。男なんだから女の子に意地悪するのは良くないよ。』
藤井は啓一に意見されたのが悔しかったのか啓一を力いっぱい押した。
倒れる啓一に健太が駆け寄る。
『いいから!』
啓一は健太を制止した。
「オメーが俺に意見するなんて1万年早いんだよ。…それにオメーみたいな雑魚に言われて辞める俺じゃねえよ!…女の子に意地悪するな?オメーの力じゃ守れないのにしゃしゃり出てくるんじゃねえよ!」
藤井はそう言うと泣いていた女の子を力強く押した。
「平井ちゃん!」
倒れ込む女の子に友達が近寄る。
その時啓一の中で何かが飛んだ。
ゆらりと立ち上がり藤井の前に立ちふさがる。
「なんだテメー!!」
藤井が啓一の顔面を殴りつける。
しかし啓一は倒れる事無く近くの椅子を掴み戻る反動で藤井の頭に椅子を叩きつけた。
真っ赤な鮮血を撒き散らし泣きながら藤井は倒れた。
今まで大口叩いていた藤井がまるで赤子のように…。
啓一はその姿を見てサラリと言った。
『なんだ簡単じゃないか。…健太。今日夜お前んち行くわ。』
そう言って返り血を浴びたまま啓一は教室へ戻っていった。
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