月夜の訪問者

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「疲れた!もう動きたくないわ!」 自分の疲れを堂々と表現するほどの明快さを持つ女。 彼女の名はルナ。やっと20歳になり、自らは大人の女性の仲間入りと感じていたが、彼女の相棒はそうは思っていなかった。 「マスター……もう大人なんだから、そういうのやめようよ。」 「あたしの心は少女なのよ。」 「(うわー、屁理屈だ……)」 心の中でツッコミを入れた彼の名はルナの相棒のフロウス。 人では無く精霊……でも無く神獣である。手の平に乗るほどの小さな龍ではあるが、内に秘めた力は強大。その姿や言葉遣いからは想像出来ないが…… そんな二人は今の街を拠点にしてある仕事をしていた。 それは『何でも屋』 どんなことでもやってみようという発想からルナは挑戦したが、今では街中の人から仕事が来るほどになっていた。 「忙しいわ……寝たい……」 「まぁ今日の仕事終わったから寝ればいいんじゃ――」 フロウスがそう語りかけた時、玄関の扉が開いて割腹のよさそうな女性が入って来た。
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