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常に夜のような闇に染まっている最果ての墓地を歩く中、スレイに手を引かれているルナはずっと黙り込んでいた。
「(スレイの手……暖かい。何か嬉しい……って何考えてんのよあたしは!こんな奴に手を引かれて嬉しいわけないわ!こんな心が捩曲がった奴なんかに!)」
一人頭の中で忙しいルナが何度も表情を変えながら自分と戦っていると、突然スレイがルナの手を離し、苦痛に歪んだ表情で右腕を押さえながらうずくまった。
「(こんな時に……暴れ出す間隔が短くなってきたか……!)」
「……スレイ?」
突然いつもは見せない表情を見せるスレイに、ルナは呆然とした様子で問い掛けることしか出来なかった。
だがスレイは激痛を我慢し、冷や汗をかきながらもいつものような無表情さを見せて口を開いた。
「何でもない。行くぞ。」
「行けるわけないじゃん!何やせ我慢してるのよ!右腕痛いんでしょ!?」
「お前が手を強く握るからだ。」
スレイが顔を背けてそう呟くとルナは顔を赤くしてスレイに詰め寄った。
「あんたが勝手に引っ張ってるだけよ!」
「それは悪かった。行くぞ。」
悪びれる様子もなくスレイは軽くあしらい、右腕から手を離して再び歩きだした。
ルナはそんなスレイの背中を眺めながら、鬼神のように闘志を剥き出しにした。
「(ちきしょー!一言多いうえに絶対心から謝ってないし!やっぱむかつくわ!)」
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