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スレイに追われているような形で走り続けているルナは、恐怖と疲れで集中力散漫になってきたのか何も無い所で突然転んだ。
「痛っ!鼻打った!痛いっ!」
「……元気な奴だ。まだ走る気力はありそ――」
倒れているルナに剣を向けながらそう呟いたスレイだったが、何かに気付いたのか突然辺りを見回しながらため息をついた。
「そういうことか……なるほど。天獣が見つからない理由が朧げながら理解出来た。」
「……今って剣向けてますかね?仰向けになっていいですかね?」
その言葉を聞いたスレイは俯せになっているルナに向けていた剣を除け、合図をするようにその体を足で軽く蹴った。
するとルナは横に半回転して仰向けになり、無事生還したような安堵のため息をついた。
「何回か死ぬかと思った……で、さっきの話って何?」
「天獣が見つからない理由だ。どうやらこの空間全体……幻術で覆われている。」
そう話すとスレイは何かを探すように辺りを入念に見回し始めた。
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