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「疲れてるんだよ、起こしちゃダメだからね?」
女の子のほうが父親の顔を覗き込む男の子を、そう言って止めた。
「わかってるよ、咲弥はうるさいなぁ…」
男の子はそう言って窓の外に顔を向けた。
それを黙ってみていた母親は、優しいほほ笑みながら、男の子の頭を撫でた。
それから「咲弥」と呼ばれていた女の子の頭も…
「咲弥も夕輝も父さんが大好きだもんね…」
その手は本当に優しく、暖かさに満ちていて…
「ねぇ…」
「夕輝」と呼ばれた男の子は、窓の外の夕陽を見たまま母親に話し掛けた。
「母さんは、父さんのどこを好きになったの?」
母親は一瞬驚いた顔をすると、すぐに苦笑いをしてごまかしていた。
「それはわたしも気になる!」
女の子も一緒になって母親に問い掛けていた。やっぱり女の子というのは、何才でもこういう話が好きらしい。
…正直、僕も気になる…
母親は仕方ないと諦めた感じでゆっくり話し始めた…
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