~笑顔~

4/4
前へ
/28ページ
次へ
母親ゆっくりと話はじめた。     「わたし達が出逢ったのはね、運命だったのかもしれない…」     そう切り出すと、中学で出逢い、過ごした日々のことを子供達に聞かせた。   いや…   子供達に向けて話しているのとは少し違う…     どこが自分に言っているような雰囲気がある。     「ふぅん…父さんってなんか子供みたいだね?」   話を聞いた女の子が、そんな感想を言った。     「そうね、子供みたいだね。」   母親もそう言って笑った。     「じゃぁさ…」   笑う母親に男の子が尋ねた…   「母さんは父さんのどこがよかったの?」     さっきまで笑っていた母親の顔が、みるみる赤くなっていく。   たかが子供の質問だ。適当に流すこともできるだろう。     だけど…     「えっと…それはね…」     母親は照れながらゆっくりと言葉にした。     「…孝秋が一番近くでわたしを見ていてくれたから…かな?」     小さくそういうと、父親が眠っていることを再確認した。       幼い子供達はよくわかっていないみたいだったけど、   「やっぱり母さんも父さんと同じなんだね!」     そう言って笑った…
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加