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母親ゆっくりと話はじめた。
「わたし達が出逢ったのはね、運命だったのかもしれない…」
そう切り出すと、中学で出逢い、過ごした日々のことを子供達に聞かせた。
いや…
子供達に向けて話しているのとは少し違う…
どこが自分に言っているような雰囲気がある。
「ふぅん…父さんってなんか子供みたいだね?」
話を聞いた女の子が、そんな感想を言った。
「そうね、子供みたいだね。」
母親もそう言って笑った。
「じゃぁさ…」
笑う母親に男の子が尋ねた…
「母さんは父さんのどこがよかったの?」
さっきまで笑っていた母親の顔が、みるみる赤くなっていく。
たかが子供の質問だ。適当に流すこともできるだろう。
だけど…
「えっと…それはね…」
母親は照れながらゆっくりと言葉にした。
「…孝秋が一番近くでわたしを見ていてくれたから…かな?」
小さくそういうと、父親が眠っていることを再確認した。
幼い子供達はよくわかっていないみたいだったけど、
「やっぱり母さんも父さんと同じなんだね!」
そう言って笑った…
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