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「あ!ご主人様っ!おかえりなさいませっ!そ、そ、掃除は無事終わらせました!」
笑顔でうろたえながら言う琴音。朝、家を出た時から、何一つ配置は変わってない。
「嘘だろう?それ…。」
「はっ…はい!掃除は、してないですっ!で、でも洗濯はしました!ホラ…ご主人様が今、手に持ってる…。…!?」
琴音の顔色が変わった。
俺は手に取った洗濯物を見た。
こ…これッ!俺のワイシャツ…?!
何でピンクになってんだよ?
「…何をした?琴音…。」
「あ…多分…。私の服の色が…。」
なるほど…色柄物と一緒に洗ったのか?
俺は、他の洗濯物も漁ってみた。
「?!」
「ッ!!」
俺の下着も靴下も、まだら模様に白くなっていた。
「琴音…。」
「ご…申し訳ありません…。漂白剤を使ったら、ご主人様のシャツが白くなるかなぁと…。」
白くなるべき物はピンクに…。白くなるべきではない物が白く…。
どうやったら出来るんだ?
「で、キッチンで何を作るつもりだ?」
恐る恐る琴音に尋ねた。
「はいっ!鶏のから揚げを作ろうかと…。ただ…から揚げと言うからには、そのまま揚げてしまうべきかと、考えてみたのですが…。どうやらヤツの回りには、何やら付着してるようで…。あの物質は何なのか…。琴音には、全く解らなくてですね…。」
頭が痛くなって来た…。
「…俺が作るから。」
「え?でも…仕事しないと、メイド服が…。」
メイド服?
こいつ、そこまでしてメイド服が欲しいのか?
「用意しとくから…。お前は、風呂にでも入れ…。」
これ以上の惨状を避ける為、俺は言った。
「はい♪」
嬉しそうに笑う琴音。
何故か、また甘やかした気がした。
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