第30章~メイド様と恋敵

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「僕の口からはあまり詳しくは話せないんだ、悪いね。」 「…。」 「はっきり言えるのは…。君は、僕のライバルで、恋敵って事だよ。」 恋敵? ただでさえ、こんがらがっている頭が混乱する。 俺は片思いなのか? 昨日の出来事ゆえに、両思いなのか? こんな事を考えながら、一日を過ごすのか? 「ごめん…。今の俺は、上手く理解出来ない。」 環が琴音を好きならば、昨日の出来事を話しておくのが、フェアだろう。 けれど…こんな曖昧な状態を伝えていいのか? 狡いかも知れないけど、横槍を入れられて、全てがブチ壊しになるかも知れない。 「じゃあ、きちんと教えてよ?こっちゃんと、何があったの?」 「…。」 隠すのか? 環だって本気だろう。 俺は…。 「…じゃあ、僕の予測…。君は、こっちゃんに気持ちを伝えたね?…恐らく、こっちゃんも君に気持ちを伝えたんでしょ?」 「どうして?!」 何で知ってるんだ? 俺の気持ちじゃなく…。 琴音の気持ちを…。 「図星なんだ…。」 環は溜め息混じりに言った。 「…あぁ。」 「どうしてって…僕は、こっちゃんに確認済みだからだよ?…ずっと…知ってた…。」 重々しく言う環。
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