第30章~メイド様と恋敵

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「…そうか…。」 「君を、怒らせたくないからとかじゃないよ?…僕は、それを君に教えたくないくらいに、こっちゃんが好きだと思った。」 「…あぁ。」 責める、責めないとかじゃない。 自分の大好きな人を欲するのは、間違いじゃない。 誰かに渡したくないと思う気持ちも、間違いな訳じゃない。 「…平井君の、こっちゃんに対する想いは、そんなもの?僕がこっちゃんを好きだと知ったら、僕に遠慮出来てしまうもの?」 そんな訳ない。 環にも、誰にも…。 渡したくない…。 けれど…それは、琴音の気持ちが伴う場合のみだ。 俺には確信なんてないから、怖いのか? 琴音の言うように…お互いが想ってると気付くだけで、幸せなのか? 俺は、欲張りなのか? 彼氏や彼女という…形があるものでなければ、満たされないのか? 簡単に揺れる…。 こんなに足場がグラグラしている…。 俺が、琴音を好きでいればいいだけではないと、気付いたから? 環と話さなければならないのに、脳裏には琴音の事しか出て来ない。 「遠慮は、するつもりはない。」 冷静になれ、俺。 どうしたいのか…。 どう在りたいのか…。 もう一度考えて、琴音と話そう。
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