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「もう一度、きちんと話す時間を下さい。」
夕食後、俺は琴音に土下座した。
琴音に頭を下げるのは、初めてだ。
プライドとか、関係ない。
どうしようもない俺の頭の中は、琴音しか解決出来ない。
「…もう一度って?」
澄ました顔をして、琴音は言った。
俺の土下座に、何一つ触れないのが、琴音らしい。
「俺は琴音が…」
「あ゙ぁぁぁぁぁっ!!!」
俺の声を遮るように、琴音が叫んだ。
「ちゃんと聞けよ…。」
「…申し訳ありません。」
「だから、俺は…」
「ご!ご主人様ぁぁぁぁッ!!!」
再度遮るように、叫ぶ琴音。
聞きたくないって事か?
話したくもない?
ふざけて話を逸らそうとしている?
「…あのなぁっ!」
煮え切らないままの気持ちは嫌だ!
俺は、話したくて仕方ない思いで、声を荒げた。
「…。」
琴音は、困った表情を浮かべた。
「え?」
迷惑?
いや、それにしては、泣きそうな顔…。
もう触れたくない話題だからか?
「…解りましたから。…外に…出ませんか?」
琴音は、小声で囁いた。
どういう意味だか、解らない。
ここでも話せるのに?
何かマズイ事でもあるのか?
「…あぁ。」
解らないまま、俺は了承した。
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