第31章~メイド様とワンモアチャンス

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涼しいとは言えないけれど、風が心地良く吹いている。 「すいませんでした…。」 琴音は、開口一番に謝った。 「いや、いい…。」 俺の頭は、外だろうと室内だろうと、どっちでも良かった。 そんな事に、深い意味を感じなかった。 「で、もう一度って何ですか?」 琴音は改めて尋ねた。 瞬間…頭が真っ白になった。 言いたかった事。 聞きたかった事。 あれだけ考えて、さっきまで煮え繰り返るくらいに頭を行き来していた言葉達を…。 全て忘れていた…。 「あ…えっと…。」 「何ですか?」 冷静に考えた事。 もう一度…言う事。 言わないといけなかった事。 目茶苦茶でも、きちんと伝えないとならない事。 「…。」 「…。」 「…俺、琴音が家に来てから、最初っから…。ずっと、きっと琴音に惹かれてた。」 話の切り出し方が判らなくて…。 俺は、最初から話そうと思っていた。 「…嘘臭いですよ、それ…。」 琴音は、からかうように笑った。 「琴音は、最初から…ありのままで、俺に接してくれた。飾ろうとしなかった…。可愛くなろうと頑張るのに、自分を隠さないでいてくれた。」 「…それは、少し違いますよ…?」
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