第2章~メイド様の正装

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「ご主人様…お伺いしたい事があるのですが…。」 普段から話し掛ける事がなければ、自ら話さない琴音が珍しく話し掛けて来た。 今朝は随分と明るく、何かを思い付いた様子だ。 「何だ?」 琴音の頭の中は未知だ。 家事が好きではないというのも、俺に取り入る為の口実かと思った。が、どうやら懸命にやっては失敗するので、本当に好きになれないらしい。 「思ったんですけど…メイドさんって、ピラピラのエプロンを付けてますよね?…ホラ、こんな感じな…。」 そう言って、琴音は雑誌のような物を見せて来た。 「あ~…実用性に欠けるよな…。」 “コスプレ名鑑”…そう書かれた怪しげな雑誌だ。 こいつ、一体どこからこんな雑誌を仕入れたんだ? 可愛さ重視なのか、ウケ狙いなのか…。 実際、こんな服を着て家事をしたら邪魔だろう。 「欲しいです!ってゆうか、琴音…この服じゃなきゃ仕事しません!」 「…。」 琴音の台詞に絶句した。 頭を整理しよう。 琴音は形から入るタイプなのか? いや…この際、そこじゃない。 仕事しない? 琴音に仕事をする気があるのか? 仮にあるとして…。 この状況は…どうなんだ? 俺は少なからず、琴音の雇い主の息子だ。 そんな俺に、服を買えと言ってるのか?
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