第2章~メイド様の正装

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雇い主は俺じゃない。 俺の家に居るメイドだけど、俺のメイドじゃない。 こいつは、本当に雇われてるって事を理解してるのか? どこから考えていいのか、判らなくなって来た。 「ご主人様は、見たくないですか?琴音のメイド服姿…。」 上目使いに尋ねてくる琴音。 「…。」 見たいか、見たくないか…。 見たくない訳ではない。 見たい?…違うな…。 見てもィィくらいか? 「特に興味はナイ。」 「ご主人様に興味がなくても、琴音には興味深々ですよ!」 まるで正しい事を言うように、強気に主張する琴音。 「俺にねだるのは、やめてくれ…。」 元を正すように、俺は琴音に言った。 「でも…。琴音は、ご主人様が選んだメイド服を着たいんですよぅ…。一つずつ…ご主人様が選んだメイド服がィィんですぅ。」 弱々しく、呟くように、それでも俺の耳に届くくらいの声で、琴音は言った。 「…。選んでやる。」 胸の辺りが、脈を打った気がした。 琴音のペースに巻き込まれてるつもりはなかった。 気付いたら、選んでやりたいと感じていた。 「本当ですかぁ?!わぁい、ご主人様…優しい♪」 嬉しそうに笑う琴音には、先程までのしゅんとした姿は見られなかった。 「その代わり、きちんと仕事もするように。」 「はぁい!」 琴音は更に嬉しそうに、返事した。 振り回されてるのは、俺なのか?
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