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「ッ!何言ってるの?!」
ガバッと俺から離れる琴音。
「悪いか?」
「ッ!」
「俺が、琴音を愛してたら、いけないか?」
「信じないッ!」
琴音の顔は、真っ赤だった。
愛らしい奴…。
琴音の腕を引き、再び抱きしめた。
離したくない。
離れたくない。
「琴音が信じなくても…。俺は、俺の気持ちだけは、信じられるから。」
「…。」
「憎まれ口でも、わがままでも…。そうやって、あまのじゃくなとこでも…。肝心な事は隠したがるとこも…。」
「…。」
「怠け者なとこも、やる時はやれるとこも、誰かの為に動こうとするとこも、問題発言を素で言えるとこも、俺に命令形で言えるとこも…全てが大好きだ。」
大好きだ。
そう伝えるだけで、腕に力が入る。
ずっと言いたかった。
ずっと言えずにいた。
やっと言えた。
やっと見つけた琴音。
「…褒めて…ない…。」
涙声で、悔しそうに言う琴音。
「好きだ…。」
「しつこい…。」
「じゃあ、もう言わない!」
「言わなくてィィ…。」
「大好きだッ!」
「馬鹿!」
馬鹿でもいいんだ。
例え何と罵られても、誰に何を言われても…。
琴音が俺を大切に想ってくれた事には、変わりない。
この瞬間が、夢でも…。
明日には、琴音の気持ちが離れても…。
もう、俺の気持ちだけは、離れない。
天の川の見えない七夕…。
月明かりが、やけに綺麗で…。
こんな素敵な夜を…。
一生忘れない。
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