第28章~メイド様と星見の夜

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「ッ!何言ってるの?!」 ガバッと俺から離れる琴音。 「悪いか?」 「ッ!」 「俺が、琴音を愛してたら、いけないか?」 「信じないッ!」 琴音の顔は、真っ赤だった。 愛らしい奴…。 琴音の腕を引き、再び抱きしめた。 離したくない。 離れたくない。 「琴音が信じなくても…。俺は、俺の気持ちだけは、信じられるから。」 「…。」 「憎まれ口でも、わがままでも…。そうやって、あまのじゃくなとこでも…。肝心な事は隠したがるとこも…。」 「…。」 「怠け者なとこも、やる時はやれるとこも、誰かの為に動こうとするとこも、問題発言を素で言えるとこも、俺に命令形で言えるとこも…全てが大好きだ。」 大好きだ。 そう伝えるだけで、腕に力が入る。 ずっと言いたかった。 ずっと言えずにいた。 やっと言えた。 やっと見つけた琴音。 「…褒めて…ない…。」 涙声で、悔しそうに言う琴音。 「好きだ…。」 「しつこい…。」 「じゃあ、もう言わない!」 「言わなくてィィ…。」 「大好きだッ!」 「馬鹿!」 馬鹿でもいいんだ。 例え何と罵られても、誰に何を言われても…。 琴音が俺を大切に想ってくれた事には、変わりない。 この瞬間が、夢でも…。 明日には、琴音の気持ちが離れても…。 もう、俺の気持ちだけは、離れない。 天の川の見えない七夕…。 月明かりが、やけに綺麗で…。 こんな素敵な夜を…。 一生忘れない。
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