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また所変わり
ここは城下町───
宮殿から少し離れた所にある城下町､『パウント』｡
活気に溢れるこの町では､町近くの炭鉱で取れる宝石を使った装飾品が名物になっている｡
最近､この城下町はある話題で持ちきりだ｡
それは戦争のことではないし､滅ぼされた民族のことでもないし､国王が髪型を変えたなんてのは勿論違う｡
ある話題とは
──とある“賞金首”の話｡
パウントの住民達の楽しみは､この指名手配犯の処刑とかではない｡
寧ろ次はいつ出てきて何を狙うのか､といった感じで､“活躍”を待ち侘びているのだ｡
この賞金首は「泥棒」｡
人々は､政府の管理下に有る博物館等に堂々と盗みに入っては､ことごとく逃げ続ける､この華麗な怪盗に自らを重ねてスリルを楽しんでいるのかもしれないが､一番の人気の秘密は､その紳士的な振る舞いだろう｡
犯行時に人を殺めたことなど無いし､盗品を売りさばいた金銭を孤児院や病院に置いていくというのだ｡
そして印象的なのが､頭と顔を隠す黒色のバンダナとバンダナ｡
そこから付いた通り名は
──『怪盗B･M』──
ブラックマスクと人は呼ぶ｡
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