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呆れた一人の兵士が、相方の兵士に言う。
「なぁ、確かに随分怪しいし、背格好も似ているが…こんなにトロい奴がブラックマスクな訳ないぞ…」
「馬鹿野郎!!少しでも怪しい奴を地道に調べて捜していくのが俺達の」
「…ふぁああっくっちょおん!!」
チェイスの鼻から飛び出した粘液が、力説していた方の兵士の顔に、透明な橋を架けた。
「…ぁ゙ー。…ごべんな゛ざぁあぃいー」
馬鹿にしたかのような鼻声でチェイスは兵士に謝罪する。
──実に、マイペースな男。
透明な架け橋を手甲で拭い、わなわなと怒りながら兵士が言った。
本当なら斬りつけられていたかもしれない。
「…もう……いい…。…帰りなさい…。夜道には気をつけたまえ」
「ぁ゙ーぃ。あぁりがどーございますぅー」
すっかり呆れかえった兵士二人組は溜め息をつきながら帰っていく。
チェイスは、ぺこりと頭を下げてから立ち去っていく兵士に手を振った。
「ふうぅ……危なぁかあったあ」
こんな具合で、毎度チェイスは逃げのびていくのだった。
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