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私はその場所からゆっくり離れた。
携帯を取り出し大翔へかけた。
「もう着くからね。ブランコの所でいいよね?」
「うん。」
歯切れの悪い大翔。
私はそれに気付かないふりをして携帯を切った。
深呼吸をし、二人の元へ向かった。
「お姉ちゃん、大翔!」
私は走り寄った。
姉はひたすら俯いていた。
「お母さん心配してるから、帰ろう。」
きっと姉は私の顔を見る事が出来ないのだろう。
妹の彼氏と抱き合っていた訳だから。
「大翔ありがとうね。」
私は笑顔を向けた。
「イッイヤ。たいしたことないよ!送るよ。」
やはり大翔もどこかおかしかった。
私は大翔の気持ちが、姉に向いてる事を感じていた。そう思い込んでいたのかもしれない。
…結局又お姉ちゃんに…
悲しい気持ちをこらえ、明るく振る舞いながら帰途についた。
自宅がみえてきた。母は外で待っていた。
「真子!真子!」
取り乱し泣く母。
私は思った。
私の為に、あんなに泣いてはくれないんだろうな~
何時もなら、それが憎しみに変わり、いじけたりしてきた。でも今は、大翔と姉の事で私の気持ちは崩壊寸前だった。
姉を支える様に母は家に入って行った。見つけてくれた大翔や、走り回った私に声をかける事もなく。
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