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私は大翔に頭を下げた。
「母にかわって御礼を言います。有難うございました。」
大翔は無言で私を見た。
…きっと別れ話しをされるだろうな…
私はそれが怖くて家に入ろうとした。
その腕を掴まれ、大翔に引き寄せられた。
「どうしたの…?」
私は平静を装った。
「何でブランコの所にいるのを知っていたの?」
私を背中から抱きしめたまま大翔は聞いた。
公園にいるとしか言ってない大翔…二人を見ていない限り、場所を特定するのはおかしい。
大翔は気付いていた。
「見てたんだろ?」
私は首を横に振った。
堪えていた涙が溢れ出した。
「希望、俺、」
その後に続く言葉を遮った。
「わかってるよ!慣れてるから大丈夫!今まで有難う。大翔が大好きだよ。明日からの合宿頑張ってね。」
大翔の顔を見る勇気はなかった。
私は再び家に逃げ込もうとした。
「バカヤロウ!」
背後から大翔が怒鳴った。
あまりの大声に近所の犬が騒ぎ出した。
大翔は私の手を掴み、近所の公園まで引っ張っていく。
私は黙ってついて行った。
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