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公園に人影はなかった。
ベンチに私を座らせると、隣に座る大翔。
大翔は静かに話し始めた。
「言い訳はしないよ。俺、真子さんを抱きしめた。」
私は呼吸をする事が出来ないくらいの、胸の痛みを感じた。
「ふっ二人が抱き合っていたのを見たよ。今度は大翔も抱きしめていたよね。」
私は声を搾り出した。
「言い訳はしない。」
再び胸が締め付けられた。
「ごめんな、希望を泣かせて。」
その言葉に涙が止まらない。
「優しくしないでよ!」
私は泣きながら言った。
「ただこれだけは言わせろ!俺は別れるつもりないからな!」
大翔の言葉に私は顔を上げた。
「…んで?なっなんで?おっお姉ちゃんに、ヒック…気持ちが、ヒック、私より、お姉ちゃんが…」
その先の言葉は大翔の唇に遮られた。
やさしい優しいキス。
大翔は唇を離すと私を抱きしめた。
「こんな風に抱きしめたいのはお前だけだよ。俺を信じろよ。こんなに惚れてるんだぞ!もっと自信持てよ!」
てっきり別れ話しをされると思っていた私は、安堵からか再び涙がでてきた。
「泣き止まないなら抱いちゃうよ。」
私は…
「いいよ…」
そう答えていた。
「希望?」
大翔は驚いた顔で私を見つめた。
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