408人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
家のなかは静かだった。
母はうなだれたまま私を見ない。
私は姉の部屋に向かった。
「入るよ。」
返事はなかった。
姉は頭まで布団を被っていた。
「お姉ちゃん、今までごめんね。ごめん…お姉ちゃん…」
私は言いながら涙がでてきた。
姉は慌てて布団から顔を出した。
「希望は悪くないでしょ?」
姉は優しかった。
「私ね、ずっとお姉ちゃんが大嫌いだったの。小さい頃から比べられて、お父さんやお母さんがいつもお姉ちゃんばかり可愛がって…私はいつものけ者で。お姉ちゃんなんかいなければいいのにって…」
「私は希望が羨ましかったのよ…」
姉はまるで聖母マリアのように微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!