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大会当日。私は今までにないくらい緊張していた。
大翔も同じだった。
私達は姉に優勝をプレゼントしたかった。
その気負いが私の実力を邪魔した。
苦戦を強いられる試合が続いた。
大翔も同じだった。
そんな私達に姉は言った。
「二人とも、眉間にシワ寄りすぎよ。試合に勝つ事よりも、楽しんでよ!二人なら楽勝よ!」
一回り小さくなった姉がピースを私達にむけた。
私と大翔は肩の力が抜け、新たに違う力を得たような気がした。
事実、決勝戦は1番楽に勝てた。
その晩、我が家に大翔も招いて私達の優勝を祝った。
姉も楽しそうに笑っていた。
余命半年と言われた姉。
だが姉の瞳の輝きは、まえより強く感じた。
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