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短い冬休みが終わり、又学校がはじまった。
姉は少し太り、元気な様子だった。
私は部活に明け暮れていた。
ある寒い朝だった。
「あ~雪だ~。」
夜のうちに降った雪は、辺り一面を銀世界にかえていた。
電車の遅れや、インフルエンザの流行で、欠席が多い為、休校になったと連絡が来た。
大翔から携帯を貰った。
「今から希望の家に行ってもいいか?」
私は喜んで承諾した。
大翔はなぜかスコップを片手にやってきた。
「何するの?」
姉もリビングから外を見ていた。
「かまくら作ろう。」
突然の提案。
「真子さんに作ってあげよう!」
大翔なりの優しさだった。
雪遊びが出来ない代わりに、出来上がったらその中でココアでも飲もうと言った。
姉にそれをつげると、満面の笑顔を見せた。
「とびきり美味しいココア入れるね!」
そう言った。
なかなか重労働だった。
手が真っ赤になる。
その手を大翔が息をかけて温めてくれる。
「あんまり見せ付けないでよね~」
姉と母がニヤニヤしながら冷やかした。
多少土が混ざったが、りっぱなかまくらが完成した。
三人がやっと座れる程度の広さ。
背の高い大翔は頭が天井にぶつかりそうだった。
それでも、ふうふうと冷ましながらココアを飲んだ。
「うまいな~。」
大翔が感激していた。
「二人とも有り難う。」
姉は少し涙を浮かべていた。
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