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いつもと変わらない大翔。
私はどう話していいのかわからなかった。
当然それは大翔には伝わった。
「何かあったの?」
優しい声で聞いて来た。
「あのね、旅行に行くの。それで…お姉ちゃんも行ける事になったの。」
「うん…」
大翔は訳がわからないのだろう。困ったような返事をした。
「うっ海辺を散歩したいって…好きな人と、それがお姉ちゃんの夢なの…」
大翔は言った。
「そっか、いつ行くの?」
私は日程を伝えた。
「たまには学校さぼるのも悪くないよな!」
大翔は状況を察してくれた。
「ありがと…」
「希望…大丈夫か?」
大翔の優しさに頭が下がった。
「母が、私にお願いしてきたの…」
「お母さんも辛い選択をしたんだね…どっちも同じぐらい大切な娘なんだよな。俺、俺なんかでその辛さ軽くできるなら、喜んでお供するよ!」
…なんで、なんで私の気持ちを救ってくれる人なんだろう…
携帯を強くにぎりしめ、涙をこらえて言った。
「大好きだよ大翔。」
すべては姉の為…
悲しい旅にしないよう、しっかりしなくちゃ!
決心して母に報告をした。
「ごめんね…ごめんね…」
母は泣きながら私に謝った。
父は無言で泣いていた。
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