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「真子さん、お父さん達を二人きりにしてあげませんか?」
「えっ?」
真子は戸惑う。
そんな真子を大翔は軽々と抱き上げ砂浜を歩き始めた。
「大翔君!おろして~恥ずかしいよ!」
真子は手足をばたつかせた。
「嫌ですか?」
大翔が聞いた。
…嬉しい…
真子はそう言いたかった。
でも、希望の気持ちを考えると、そう言えない。
「あっ歩くから。」
ほとんど歩く事も厳しい真子。
でも、歩きたい…大翔君と海辺を!
その気持ちが奇跡を起こした。
ゆっくりではあったが、真子は自分の力で歩いたのだ。
両親はそんな真子を見て涙がとまらなかった。
よろける真子。
大翔は真子の手を力強くにぎりしめた。
「俺のパワーあげますよ。」
大翔の大きな手に包まれた真子。
打ち寄せる波から逃げる。
一瞬だったが、真子は確かに力強く砂浜を蹴った。
「濡れちゃった~冷たいね~!」
その声は両親まで届いていた。
私は姉の視界に入らない所でそんな二人を見ていた。
嫉妬をしないと言ったら嘘になる。でも、姉のあの笑顔がなによりだった。
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