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旅行の間の姉はよく笑った。
姉が笑うと皆も笑う。
このまま時間が止まればいいと…心から願った。
一泊二日の旅はとても楽しく過ぎて行った。
もう一度海が見たい。
帰り道に姉が言った。
大翔が抱き上げようとすると、
「希望と話がしたいの。」
そう言って、弱々しい足取りで歩きはじめた。
私は姉に寄り添い歩いた。
波の音が響いていた。
「希望、ありがとう。それと、ごめんね。大翔君にも迷惑かけちゃったよね。」
姉はすべてわかっていた。
「走って戻って来た希望、耳触っていたよ。」
クスクス笑う姉。
「お姉ちゃん…」
私はたまらず泣いていた。
「泣かないの!大翔君は希望の笑顔が好きなんだよ。」
そう言って笑った。
「何があっても希望は私のたった一人の可愛い妹だからね!誰よりも幸せになるのよ!」
そう言って笑った姉の顔を私は忘れないと思った。
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