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姉は再び病院へ…
楽しかった旅行も、病院が近づくに連れて皆口数が減っていった。
静まりかえる車内。
姉が口を開いた。
「楽しかった~美味しかった~また今度連れて行ってねお父さん!」
父は運転しながら頷いた。
「その時はまたお弁当作ってね、お母さん!」
母は振り返り頷いた。
「大翔君、今度は希望と二人で行けるといいね!」
大翔は、
「御両親が許して下さったらね!」
そう言って笑った。
「希望、おばさんの結婚式の時に来ていた向日葵のドレス、凄く似合ってたよ。希望は向日葵みたいだよね!」
遠い記憶がよみがえった。
姉は気にかけていたんだと、今更ながら気がついた。
「照れるからやめてよ!」
私は姉の肩に顔を付けて泣いた。
「泣き虫なんだから!」
姉は笑った。
「少し眠るね。」
それが姉の最後の言葉だった。
お姉ちゃんは、とても幸せそうな顔で旅だっていった。
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