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「真子を引き取って間もなくね、希望…あなたが私のお腹に宿ったの。
あれだけ待ち望んだ赤ちゃんだったのに…真子の事を考えると素直に喜べなかった。」
…私は望まれてなかったの?…
悲しい気持ちをおさえた。
「そんな私の気持ちが伝わったのかもね…あなたは心臓に、大きな疾患を抱えて生まれてきた。でもね…小さな小さなあなたの手が、私の指をしっかり握ったの。」
母は泣いていた。
「望んで望んでやっと授かった子供だ…小さな身体で懸命に戦っていたお前を見て、お父さんがのぞみ…希望と名付けたんだよ…」
それまで俯いていた父が私を見つめて言った。
「病弱なあなたにかまってばかりだったから、真子はお義母さんに預かって貰ったの。お義母さんもね、養女を貰うぐらい私を追い込んでしまった事を謝って下さって…真子を本当の孫のように可愛がってくれたの…二人とも大切な我が子よ。でもね、真子にはどこか遠慮していたのかもしれないわね。あの子、自分が養女だって知っていたのね…辛かったでしょうね…」
自分を責める母。
「そんな事ないよ。お姉ちゃんは本当の家族だと思っていたよ!あんなに幸せそうな顔していたじゃない!」
私は自分に言い聞かせるように言った。
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