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式の最後に私は両親への感謝の気持ちを述べた。
月並みの言葉だが、やはり有難うしかなかった。
両親は俯き涙を流した。
私は続けた…
「私には一つ違いの姉が居ました。とても綺麗で、優しくて、私とは正反対の姉でした。」
会場に笑い声が起こった。
「私はそんな姉が…大っ嫌いでした。」
一瞬会場の空気が凍り付いた。
「私がどんなに姉に酷い事を言っても、姉は優しく見守ってくれました。両親の愛情を姉が一人占めしていると思っていました。
聞き分けがよくて、両親に決して逆らわない姉。勉強も出来ました。
それでも私は姉が大っ嫌いでした。」
さすがに会場がざわついた。
大翔は私の肩を強く抱いてくれた。
「姉は、いい子でいるしかなかったんです…姉は、養女だったから。甘えたくても甘えられなかった。」
私は堪えていた涙が溢れ出した。
「がんばれ。」
大翔がそっと囁いて応援してくれた。
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