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「コンコン」
部屋のドアをノックする音。
「希望…お母さんだけど。入るわよ!」
私は布団をかぶって無視した。
「どうしたの?あんな言い方したら、お姉ちゃんが可哀相じゃない。」
…あぁ、やっぱりみんなお姉ちゃんが可愛いんだ…
私は布団から顔をだすと母に向かって叫んだ。
「そんなにお姉ちゃんが可愛い?優等生で綺麗で!色黒で不細工な私はみっともない?だったら産まなければよかったじゃない!」
『バシッ』
母の平手打ちがとんできた。
「何よ!」
頬を押さえながら母を睨みつけたが…
母のあまりにも悲しそうな顔に胸が痛んだ。
「あっ…おかぁさん。」
私は堪えていた涙をおさえられなくなった。
「希望…これだけは覚えておいてね。あなたも、お姉ちゃんも、二人とも同じように大切な存在なの。一番も二番もないの。」
「お父さんいつも、お姉ちゃんの意見ばかり聞くのはなんで?」
母の顔が曇ったが、直ぐに元に戻る。
「真子はあまり自分の要求を言わないからじゃないかな?」
なんとなくごまかされている気がしたが、
「そうなんだ。」
納得したふりをした。
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