家族旅行

3/8

408人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
「コンコン」 部屋のドアをノックする音。 「希望…お母さんだけど。入るわよ!」 私は布団をかぶって無視した。 「どうしたの?あんな言い方したら、お姉ちゃんが可哀相じゃない。」 …あぁ、やっぱりみんなお姉ちゃんが可愛いんだ… 私は布団から顔をだすと母に向かって叫んだ。 「そんなにお姉ちゃんが可愛い?優等生で綺麗で!色黒で不細工な私はみっともない?だったら産まなければよかったじゃない!」 『バシッ』 母の平手打ちがとんできた。 「何よ!」 頬を押さえながら母を睨みつけたが… 母のあまりにも悲しそうな顔に胸が痛んだ。 「あっ…おかぁさん。」 私は堪えていた涙をおさえられなくなった。 「希望…これだけは覚えておいてね。あなたも、お姉ちゃんも、二人とも同じように大切な存在なの。一番も二番もないの。」 「お父さんいつも、お姉ちゃんの意見ばかり聞くのはなんで?」 母の顔が曇ったが、直ぐに元に戻る。 「真子はあまり自分の要求を言わないからじゃないかな?」 なんとなくごまかされている気がしたが、 「そうなんだ。」 納得したふりをした。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

408人が本棚に入れています
本棚に追加