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動機は不純だったが、私も加奈もめでたく合格した。
入学式当日、早速バドミントン部を訪ねた。
部室のドアをノックすると、
「どうぞ。」
優しい声がした。
「失礼します。入部希望です」
そう言ってお辞儀をした。
「今度はまともみたいね。」
中には五人女子が居て、いかにもきつそうな一人の先輩が私達にむかって言った。
意味がわからず入口にたったままボーっとしてしまった。
「中にどうぞ。」
別の先輩が優しく手招きをした。
我にかえり部室のドアをしめ中に入った。
「まずは名前とバドミントン歴を教えて下さい。」
加奈が先に口を開いた。
「沢田加奈です。バドミントン歴は三年、個人成績県体ベスト32です。」
「あら~頼もしい後輩ね!」
周りの先輩達はにこやかに加奈に視線を送った。
私も続いた。
「若槻希望です。同じく経験三年です。個人成績は関東体会ベスト8です。」
一瞬先輩達がざわついた。
「関東大会…で上位のあなたがなぜうちの高校を選んだの?」
さっきのきつい感じの先輩が更にきつい口調で聞いて来た。
動機が不純なだけに、言葉が出て来なかった。
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