408人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
『ただ今~』
声を揃えて帰宅した私達。
「あら、珍しい二人で帰宅なんて!」
どことなく嬉しそうな母。
「先にお風呂入っていいよ。」
私は姉に言った。
「一緒に入らない?」
突然の姉の誘い。
「でも…」
躊躇する私を急かし、着替えを用意した姉。
何年ぶりかも思い出せないくらい、二人で入るお風呂。
姉は髪の毛を洗う私に手渡した。
「このトリートメント、いいよ~」
私は戸惑いながら使った。
優しい香りにうっとりする。
「希望も彼氏が出来る年になったのね!」
嬉しそうに言う。
「いっこしか違わないじゃない!」
私がいうと、姉はケタケタ笑った。
「確かにそうね!」
声をあげて笑う姉を見るのは久しぶりだった。
お互いの背中を流し、思いの外長風呂になった。
「随分楽しそうだったわね!」
母が嬉しそうに言った。
…なんで嬉しそうにしてるの?…
私は不思議に感じていた。
ただ、なんとなく、久しぶりに家族の時間を苦痛に感じない事に、嬉しさを感じていた。
大翔が自分を認めてくれた事で、屈折した気持ちが和らいでいたのかもしれない。そう思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!