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あれはいつだったかな…
父親の田舎に帰郷した時。
お揃いのワンピースをおばあちゃんが用意してくれていたっけ。
「二人ともよく似合うよ~」
目を細めたおばあちゃんの笑った顔に、ひねくれていた私の気持ちが和んだ。
提灯袖の真っ白なワンピース。
白のレースの裾が心地よくて。
でもね、聞いちゃったんだ。
「希望は吉郎にそっくりだね~あのクルクル頭で真っ黒なヤンチャな子には、麦藁帽子の方が似合ってるよ!」
高笑いするおばあちゃん。
「真子は人形みたいだな…大切に育てないとな。」
何故か涙ぐむ。
私は姉がヒイキされているのはわかっていたが、子供心に重く伝わって来た。
「嫌い、お姉ちゃんなんか大嫌い。」
小さな声で言ってみた。
少しスッキリしたが、余計虚しくなった。
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