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予想通り私への嫉妬は凄かった。
廊下を歩けば
「たわし頭。」
「ちび黒」
そんな言葉が飛び交った。
私はたえた。
入学して三ヶ月。
夏休みになる頃にはいじめはほとんど無くなった。
夏の地区大会に向け、夏休み早々合宿がある。
一週間の予定で海の近くの宿に宿泊。
遊びに行く訳ではなかったが、うきうきしていた。
自宅で荷造りをしていると、姉が部屋を訪ねてきた。
最近体調が悪く、三日学校を休んでいた。
「希望、これ使って。」
そう言って私にかわいいポーチをもってきた。
「かわいい。」
受け取るとズッシリ重さを感じた。
中身をみると、洗顔やローション、日焼け止め等が入っていた。
「最近ニキビが出来て悩んでたでしょ?」
「お姉ちゃん。有難う!」
恋の力は偉大なり!
あんなに憎らしくてたまらなかった姉に素直になれていた。
「具合悪いんでしょ?早く寝て。」
姉が出て行った後、私はポーチを荷物の中にそっとしまった。
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