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「大翔も荷物置いてきなよ。重いでしょ?」
私がうながすと、
「ありがと!」
玄関先に荷物を下ろした。
「少し休んでから行く?冷たい飲み物でも飲む?」
私がそう言いながらふりむくと、困った様子の大翔が…
「どうしたの?」
私の問いに、
「イヤッ誰もいないのにお邪魔したら悪いし、それに…」
「それに?」
私は訳がわからず大翔を見つめる。
「結構我慢してるから…やばいかも。」
顔を赤くして俯いた。
私は大翔の気持ちに気付き恥ずかしくなった。
告白されたあの日に抱きしめられ、屋上でキスはしたが、あれから大翔は「大切にしたいから」
そう言って手を繋ぐだけの関係だった。
「ありがとう。大翔大好き!」
そう言って私は冷蔵庫から缶ジュースを二つ取り、玄関に向かった。
「飲みながら行こうね。」
大翔は缶ジュースを受け取る。
が、次の瞬間私を抱きしめた。
「大翔…?」
「矛盾してるよな…でも、ちょっとだけこうしていたい。」
しばらく抱き合っていた。
大翔の鼓動を聞きながら、幸せを感じていた。
それなのに、私のお腹の虫が騒ぎ出した。
「やだ~。」
恥ずかしくてたまらなかった。
「俺も腹減った。行くか!」
私達は手を繋ぎ出掛けた。
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