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私が確か小学二年の頃、母の妹の結婚が決まった。
母は三人姉妹の長女で、一番下の妹とは八つ離れていた。
新郎新婦に花束を贈呈する大役を頼まれた。
新郎側から一人、新婦側から一人。
姉ではなく、私に頼んだ理由はわからないが、私は姉に勝てた気がして嬉しかった。
向日葵のプリントのドレスを着た私は、お姫様になった気分だった。
披露宴も中盤を過ぎ、係の人が私たち家族の座るテーブルに来た。
「間もなく花束贈呈になります。若槻のぞみちゃん、頑張ってね。」
そう優しく係の人が語りかけたのは、姉だった。
戸惑う姉に、
「緊張してるかな?のぞみちゃん可愛いから、花嫁さんと間違われちゃうね。」
にこやかに話す係の人。
「この子は真子です。希望はこの子ですよ。」
母がそう伝えると、驚きながら私の方を振り向いて言った。
「あっ、ごめんなさいね。間違えて。のぞみちゃん、ドレス可愛いね!」
悪びれた様子もなく言った。
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