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「胸に傷…あっ!しまった~つい本音が出た~俺、今抱きたいって言った?」
慌てる大翔。
「うん。抱きたいって言った。」
私はからかうように言った。
「イヤッ、抱きたいのは本当だよ。」
反撃に出る大翔。
言葉に詰まる。
大翔は優しく笑うと言った。
「さっき胸に傷があるって言ってたけど、気にするなよ。いつか、いつかさ、そんな日が来た時に、隠したりするなよ。」
頭をポンっと叩く。
「私、大翔に出会えてよかった。姉を憎んでばかりの私はね、本当に嫌な子だった。そんな自分が大嫌いで…でも今は、少しだけ自分を好きになれてるの。」
大翔は更に優しい眼差しで私を見つめた。
「なんか唄いたい。」
大翔が私の手を握り歩き出した。
引っ張られるように着いて行った。
大翔はカラオケルームに入っていく。
リモコンとマイクを受け取り部屋に入る。
「大翔~強引すぎ~。」
あまりにも強く握られた手を摩りながら軽く睨んだ。
「二人きりになりたかったから。」
そっと私を抱き寄せた。
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