譲れない

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「希望、怒ってる?この前はごめんね。」 突然姉が謝って来た。 私の脳裏に姉と大翔が抱き合っていたシーンが浮かんだ。 「あっ、うん。」 私は姉を見る事なく頷いた。 沈黙が続いた。 私は思い切って聞いてみた。 「大翔の事前から知ってたって聞いたけど、なんで?」 姉は一瞬困った顔をしたが、直ぐに笑顔になりこう言った。 「希望の試合で見かけただけよ。目立っていたから覚えていただけ。」 「それだけ?」 私はやっと姉を見れた。 姉は頷いた。 「でも、ごめんね。誤解させるような事になって。」 私は大翔が言っていた通りだと安心した。 「わかった。もういいよ!」 私は姉に笑いかけた。 姉は安心したのか、私の隣に座り話し出した。 「でも、神崎君、本当に希望が好きなのね。試合を見に行って神崎君の視線を辿るとね、その先にはいつも希望がいたのよ。」 私はその頃大翔を知らなかった。そんな前から大翔に思われていた事が嬉しくて、思わずはにかんだ。が、次の瞬間疑問が浮かんだ。
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