譲れない

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「お姉ちゃん、彼氏いたじゃん!」 私は思わず責めるような言い方をした。 「正直に言うね。私、神崎君の好きな人が希望だってわかって、結構ショックだったの。そんな時にね、いつも気になって見てましたって告白されて、好きでもないのに付き合う事になって。でも、神崎君と希望を見た時に、やっぱり神崎君を好きだと思った。だから別れたの。」 「やっぱり好きって、今でも?」 私は姉を見つめた。 「ごめんね。忘れるから、ごめんね。」 姉は顔を赤くしながら涙を流した。 …綺麗だな…お姉ちゃんは泣いても綺麗なんだ… 私はそんな事をぼんやり考えていた。 「ゆっ譲れない。大翔だけは絶対譲れない…他の事は今まで我慢してきたけど。」 私の声は震えていた。 「他の事?」 姉はまるで心あたりがない、罪の無い顔で私を見た。 「私の初恋の人はね、伊原先輩だったんだよ!知らなかったでしょ?」 姉はうなだれた。 「部屋出てってくれる!昨日大翔にたくさん色んな事されて、疲れてるの。大翔キス上手なんだ~」 私の口は壊れてしまったの?姉を傷付ける言葉が溢れ出した。 姉は静かに部屋を出て行った。 私は虚しさに涙がとまらなかった。
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