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浴室に一人残された私は、例えようも無い虚しさに包まれていた。
明日から又姉は入院する。
そういえば、何の病気なんだろう。
私は浴室から出ると、母にそっと聞いた。
漬け物を切る手がとまった。
「私には教えられないの?」
母の背中が泣いていた。
「子宮癌よ…真子は子宮を摘出するのよ…」
私は体が震え出した。
『ガタン』
物音に振り向くと、青ざめた姉が立っていた。
「真子!」
悲鳴に近い声の母。
姉は首を横に振りながら後退りする。その目には涙が溢れていた。
「おねぇ…ちゃん。」
私が思わず手を取ろうとしたが、姉は玄関から外へ飛び出した。
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