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座ったものの、何を話していいのかわからない大翔は、ブランコをこぎだした。
勢いよくこぐ大翔を見て、
「危ないですよ。」
遠慮がちに真子は言った。
「気持ちいいな~真子さんもこぎなよ。」
屈託のない笑顔の大翔を見て、真子の顔に笑顔が戻る。
真子もブランコをこいだ。
「風が気持ちいい~。」
無邪気に笑う真子。
「笑っていたほうがいいですよ。」
大翔は立ちこぎをしながら言った。
「危ないから~。」
さすがに真子がとめた。
『パサッ』
大翔の手から紙袋が落ちた。
真子はそれを拾って渡した。
「買い物の途中だったの?ごめんなさいね。迷惑かけてしまって。」
大翔は笑った。
「買い物って言っても、これガットだから。」
「ガット?」
真子は首を傾げた。
…確かに可愛いかも…
大翔は不覚ながらも少しだけときめいてしまった。
「バドのラケットの網って言えばわかるかな?」
真子は頷いた。
その顔はもうすっかり明るさを取り戻していた。
「何があったかは知らないけど、元気出して下さい。笑顔可愛いですよ…」
大翔は言ってから恥ずかしくなり、顔を真っ赤にした。
真子は、大翔に笑顔をほめられて心から喜んでいた。
「有難う、神崎君。」
御礼を言う真子に、
「大翔でいいですよ。俺も真子さんって呼びますから。」
真子は涙が出るくらい嬉しかった。
「私、頑張れそう。ありがとうね、ひっ大翔君!」
真子は幸せだった。
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