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「あ、あのな」
部屋を退出する間近、
ゼフェル様に声をかけられた。
「?」
振り返る。
ゼフェル様は慌てたようにそっぽを向いた。
「お前、他に何も話すことはねぇのかよ!」
「?」
「育成のお願いだけか?忙しいのかもしれねーけど、お前はいつも育成の用事がある時しか来ねーな」
「……」
他に話すこと?
育成のお願いだけ?
私はゼフェル様が何を言いたいのか、理解に戸惑う。
そんなアンジェリークの態度に、ゼフェルはおもむろに眉を釣り上げた。
「ああ、もういい!育成は分かった。やっとけばいいんだろ!分かったから帰れ!」
「ゼフェル様……?」
「……」
ゼフェルはそれ以降、口を閉ざしてしまった。
アンジェリークはゼフェルの不機嫌のわけも分からずに、ペコンとお辞儀をすると、部屋を後にした。
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