『普通の始まり』

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「ユキ?あんた辞書は?」 「ん?なにが?」 「えぇーっ!?忘れたの!?貸してたじゃん!!今日使うのにぃ!!」 「ご、ごめんなさぃっ!!」 あたしにはナゼかよくある光景。昨日忘れ物をした際に友人に借りていた辞書を丸一日借りたあげく家に忘れてきた。 「…ご、ごめんなさぃ…」 あやまってばかりの毎日。 「おぃ、白石。お前今日、当番だろ?」 「…ん?あれ?そぅだっけ?」 男子生徒に言われゴミを捨てに行く。 「…ん?あれ?ユキちゃん昨日も捨ててなかったっけ?」 「あれ?…だって男子が…」 「…ったく、ユキ、騙されやすいなぁ…」 「お人よし」とは褒め言葉なのか?あたしはわからない。 忘れやすく、騙されやすく、自分の足にはつまずくし、はっきりしなく、ボケーっとしている。 それがユキ。 白石 雪。 この話の主人公。
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