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そして透の死角から魔術を放とうとしている魔物を一撃で仕留めると、美智子は妖しい笑みを口元に浮かべる。
「あなたの背中は私に任せて。」
「ふっ……心強いな。」
いきなり美智子の腕を引いて抱き込みながら、透が棍を振るう。
その瞬間美智子の背後まで迫っていた魔物に風の塊がぶつかり、無惨にも吹き飛んでいった。
「量はまぁ多いが、どうにかなるだろうさ。」
「どうにかしないといけないのよ。
さっさと終わらせて、みんなの手伝いに行かないと。」
透の腕の中で美智子は苦笑し、名残惜しそうに離れる。
「光の加護がありますように……」
「それ以上の加護を与えてあげますよ。」
「っ?!」
いきなり響いた透き通った声に、透たちだけでなく魔物たちも肩を震わせる。
特に威圧的というわけではないのに、響いたその声は誰もが平伏してしまうかのように神々しいものだった。
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