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「はぁ~、まぁいいけどさ……」
旭は誰に聞かせるわけでもなく呟くと、ふと騒がしい隣の席を見た。
「ねぇ、華野君。
どこからきたの?」
「なぁなぁ、こっちきて話そうぜ?」
見る限り、人の群れ。
四方を囲まれている鷹夜は、もはやこちらからは全く見えない。
「すごい人気だねぇ~」
「まぁ入学早々の編入生な上に、珍しい特待生だからね。
騒がしいのも無理ないよ。」
美智子の間の抜けた言葉に旭は冷静に返すと、減る所かどんどん増えていく鷹夜の周りに苦笑していた。
入学式が終わってまだ数日。
こんな時期に編入とは異例とも言えるが、それだけでなく彼は特待生だ。
このマンモス校で各学年で数人しかなれない特待生に、編入生である鷹夜が普通になっているのである。
そりゃあ、みんな注目するだろう。
そんな風に思っている旭だが、旭の制服の襟にも鷹夜と同じバッチが光っている。
もちろん、一緒にいる美智子の襟にも―――
こうして旭たちがのんびり眺めていると、1時間目の始まりを知らせるチャイムが教室に鳴り響いた。
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