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透のスタイルはスピード重視のため、防御の弱さが欠点だった。
しかしその欠点を、この短期間で克服してきたようである。
「ほら、早く結界をとけよ。」
「はいはい、了解っ!」
美智子はクスリと苦笑を零しながら指を鳴らすと、まるでシャボン玉のように結界が弾ける。
それを見るのではなく感じた透は、素早く魔物たちに突撃していった。
「昇龍っ!」
一気に魔物との距離をつめ、鳩尾に棍を叩きこむ。
そしてそのまま力任せに跳ね上げ、無防備な首にさらに棍を叩きこんだ。
「くるならこい―――まとめて相手してやるよ……」
棍を片手に構え、不敵に口角を上げる。
こんな透の仕種を見て、誰が彼を経験浅い学生だと思うだろうか―――
それほど、精悍で堂々としていた。
「私も忘れないようにっ!」
大量の矢を一度に放ちながら、美智子も声を上げる。
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