59560人が本棚に入れています
本棚に追加
/903ページ
「誰っ……」
「落ち着け、美智子。」
うろたえる美智子を背に庇いながら、透は魔物たちから一気に距離をあける。
そして油断なく辺りを見渡した。
「今のは……」
「あっ―――」
警戒している透の背後から顔を出したかと思うと、美智子がなんとも気の抜けた声をだす。
そしてそのまま虚空を指差した。
その指先に促されるように、透も視線だけを移動すると―――
「あれは……」
―――確かに、あそこには魔物たちが群がっていた。
にも関わらず、今は誰一人(?)立っていない。
その代わりに、まるで女神のような女性がたおやかに立っていた。
美しい金髪は腰辺りまで波打ち、ノースリーブの白いワンピースが風に揺れる。
足元はその金髪同様黄金に輝くサンダルに、細い手首にはいくつもの黄金のアクセサリーが涼やかに存在を主張する。
.
最初のコメントを投稿しよう!