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そしてなによりも目を引くのは、深い海を想像させる蒼い瞳。
神々しいその雰囲気と見た目に、天から舞い降りた天使だと錯覚してしまったのはきっと透だけではないだろう。
その証拠に、魔物たちも圧倒されたように微動だにしない。
「…………」
敵か味方かもわからないこの状況に、透は冷静に観察する。
しかし内心は、気配もなく降り立ったこの女性に困惑していた。
「透……」
「―――やるぞ。」
か細い美智子の声に応えるように小さく呟くと、背中越しに彼女が頷くのがわかる。
とりあえず今の状況では、三つ巴を想定して戦うのが一番無難である。
そのことは美智子も言葉にしなくてもわかっているようで、透をサポートするように無言で弓を構える。
そして透も棍を強く握って、いざ突撃しようとした時―――
「ミティアライト。」
涼やかな声音が、天使のような女性の口から奏でられる。
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